検査結果
検査の結果を聞きに、また病院へ。
さすがに不安な気持ちだった。
例の如くだいぶ待って、診察室へ。
医師はにこやかに迎えてくれた。
結果はね、白だったんだよ。
……
でもね、この初見で僕の経験では白とは思えないんだよね。
……グレーですか?
私の声は小さくかすれて、医師には聞き取れなかったらしく、
グレーにしたい訳じゃないよ。
と、笑った。
こんな場面で笑顔を見せる医師。だけど、何故だかイヤな気持ちにはならなかった。この先生、とても良い方なんじゃないかな。
そして、提案されたのは、マンモトーム生検。
マンモグラフィーの撮影状態で針生検をするもの。当時はこの検査が出来る病院が少なく、この病院では予約がだいぶ先になってしまう為、別の病院、(Bとします)でやることになった。
病院を出るともう夕方だった。
夕方の空を見上げたら、張り詰めていた気持ちがゆるんだのか、涙が滲んだ。
私、死んじゃうのかな。
あの日に、死というものが、それまでとは違うものになりました。遠いものではなく、自分のすぐそこにあるもの。
結果、私は、10年後の今も生きていますが、この時の気持ちは忘れられないものです。
もっと深刻な状況の方々もたくさんいらっしゃると思うので、この程度で大袈裟な…と叱られてしまうかもしれませんが、どうかお許しください。
当時の気持ちの中で覚えていることはそのまま記しておきたいのです。
初診の日②
カフェにいても、なかなか落ち着くことは難しかった。当時はまだ世の中にスマホは無く、ガラケーの時代。
そろそろ良いかな?と思う頃に病院へ戻った。
待合にはまだ人がたくさん。
ようやく呼ばれた。
診察室には、若くて笑顔の男の先生が座っていた。
私のマンモグラフィーの写真もあった。少しのやり取りの後、驚いたことに、その場で超音波検査が始まった。そして、針生検。
皮膚を少し切開し、太い針で細胞を取り、検査をしてもらう。
かなり時間がかかった。
終わると看護師さんが丁寧にガーゼを当ててくれた。
気付くと病院の中は静かで、21時近く。
こんなに遅くまで、先生も看護師さんもやってくれるなんて…
そして疲れ切った私に、大丈夫?と声までかけてくれる。
優しい先生たちだった。感謝…
初診の日
そこは都心に昔からある大きな病院。
どこに名医がいるのか、どこへ行けば良いのかわからなかったので、以前何かあると祖母がお世話になり、私自身も一時期通院したその病院を選んだ。
総合受付で名前を言うと、一応私の名前は旧姓で残っていた。手続きをすませると後は順番を待つだけだ。待合の廊下には患者が溢れていた。
しばらく待っていると、看護師さんが、だいぶかかるから、外出しても良いことと、近くのカフェの場所を教えてくれた。